学校生活

卒業証書授与式 答辞

(2020.03.17更新)

卒業証書授与式で披露するはずだった答辞です。

式の前にも、何度も来て練習を積み重ねていました。

本人の声でお伝え出来なかったのはとても心残りですが。

ぜひぜひ、ご覧ください。


冬の寒さも和らぎ、柔らかな春の光に包まれたこの良き日に
本日は、このような式典を挙げていただき誠にありがとうございます。

 

私は中学時代、体調不良により全く学校に通えない状態で、不登校の児童をサポートしてくれる市の適応指導教室に在籍していました。中学3年の時、その指導教室の先生からわせがくのことを紹介されました。しかし、私には高校に行く気力と自信が全くありませんでした。その指導教室さえ数回程度しか通えず、人と話すことすら難しい状態だったからです。ですが「高校には行ってほしい」という親の言う通りにしました。これが私がわせがくに入学した理由です。いよいよ高校生活が始まりました。
しかし高校に入ったからといって突然やる気が起きるはずもなく、入学して1か月もしないうちに、通えなくなりました。先生から休学という手段もあると教えられ、休学を選びました。2013年の事です。

 

それから1年、2年、3年、4年、5年間の年月が流れました。その大半は何もせず、ただ時が過ぎていくだけの日々でした。
その年月の間に私は成人を迎えました。飲酒、喫煙など禁止されていたことが自分の意志で行える年齢ですが、負うべき責任や義務があります。このままではいけないと思い始めました。とりあえず前に進むために高校は卒業しておいた方がいいと考え、体調も以前と比べ良くなっていたので2018年に復学を決めました。第二のわせがく人生の始まりです。気分はちょっとした浦島太郎でした…。
とはいえ、引きこもり生活が長かったので急に学校に通うのは不可能だと思い自学型を選択しました。
自学型とはいえ進路の相談や、レポートの分からないところを聞きにいくなど、時々は学校に顔を出していました。3年の夏ごろ、担任の先生にこう言われました。「通学型のコースに変更してみない?」と。
後期からなので登校日数も多くはなく迷いましたが、卒業後、進学を考えていたので、体を慣らすためにも通学したほうがいいと思い、コース異動を決めました。しかし正直不安もありました。やるべきことをしっかりやれるか、クラスメイトたちとうまくやっていけるか。
でもそんな心配は杞憂でした。声をかけてくれたクラスメイトや、サポートしてくださる先生方がいてくれたからです。通学型に異動してからは学校に行くのがとても楽しみになっていました。
その中でも特に思い出に残っているのは文化祭と校外学習です。文化祭では司会を任されたり、他のコースのクラスメイトと協力しあうことにより、コミュニケーション力を向上させることができました。
校外学習では今まで話したことない人とも話すことができ、交友関係を広げることができました。
とてもいい経験ができ、自分の居場所が確立されたように感じました。行事という最高の機会をくださった先生方には感謝しています。

 

通学型にコース異動してから文化祭、校外学習などの行事はもちろん、些細な日常の出来事のすべてが楽しく、まるで学園物語の登場人物になった気分でした。短い間でしたが、充実した時間を過ごせた事は後輩含め、柏キャンパスのみんなのおかげです。決して自分の力だけでは得られなかったものです。感謝してもしきれません。本当にありがとうございます。
そして、長い間迷惑をかけたけれど学費を払い、支えになってくれた両親、祖父母に感謝しています。ありがとう。

 

卒業生のみなさんは、保護者の方やサポートしてくれたすべての方に感謝を忘れないでください。
そして自分自身にも「よく頑張った!お疲れ様!」と言ってあげてください。卒業するって当たり前のことかもしれませんが、やっぱり素晴らしい事だと思います。当たり前ができるって実は素晴らしいことなんですよ。
そして、これからの人生、わせがくで過ごした日々で得たものがきっと自分の力になっていくと思います。

 

私は、この日を迎えられ晴れやかな気持ちと同時にこの日が来てしまい寂しい気持ちもあります。
四月からは進学という新たな道へ進みます。本音はもう少しわせがくに通っていたいです。でも前に進まないわけにはいきません。

 

人生で一度しかない高校生活、私の人生には存在しないと思っていた高校生活を、わせがくで過ごせて良かったと思います。最後の最後に宝物のような経験ができました。これからの人生、その宝物を糧に生きていきます。
最後になりますが、わせがく高等学校のさらなる発展をお祈りし、答辞とさせていただきます。

 

卒業生代表 答辞

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